Table for September; BEIGE

柔らかな色に囲まれて

夏から秋への移りかわりを楽しんで

秋の始まりにはお洋服でも

たくさん並び始める”ベージュ”

 

そんな秋の定番ベージュには、

実はとてもドラマティックな

シンデレラストーリーともいえる歴史があります。

 

簡単にではありますが、ぜひ身近な色

ベージュの色のストーリーを知って頂くところから…

後半では少しまだ夏の名残を感じる質感や色を足しながら、

レッスンテーブルをご紹介します♪

ベージュ ― 「茶」に「白」を足した色
または 「明るい、灰みの、赤みを帯びた黄」
黄色と橙色(オレンジ色)の間の色相に、
明るいグレーを混ぜた色
原色やビビッドカラーとは異なり、
何色とは断定できないような
曖昧で淡いトーンの色を指す 
“ニュアンスカラー”として表現されます。
ブティックでもやはり、よく耳にする単語ですよね。
オレンジやイエローのスカーフ等と
コーディネートしやすいのは、
ベージュ自体がその延長にいるからなんです。
Caucasian Skin Tone Color Palette | Colors for skin tone, Skin color  palette, Color theory
***
ベージュが現在のような”ファッショナブルな色”として
評価され始める歴史には、1900年代初頭の
モダン・デザインの始まりと強い関わりがあります。
実はそれまでの長い歴史の中でベージュは、
”貧しさ”や”質素”、”庶民”の色として
あまり良いイメージではありませんでした。
1066年のノルマン侵攻を描く
ロマネスク バイユーの麻のタペストリ
ロマネスクという言葉自体が
「ローマ風の粗野な」「質素な」という
揶揄した言葉とされる
確かに、染色されて作られる白や、
例えば特権階級の象徴として
儀礼服などに用いられることの多い紫や
ゴールド、赤、青に比べると
ベージュというのは手の施されていない、
素材そのままという
状態を指す色だったんですね。
 
***
 
その歴史がモダン・デザインの幕開けにより
がらりと変貌を遂げるベージュなのですが、
 
その前に、
 
皆さんがブランドからイメージするカラーはありますか?
ロゴの色、箱の色、ショッパーの色、
代表作の色…さまざまなところで
ブランドと強く繋がっているカラーには、
色名にそのブランドの名前がついているものがあります。
 

例えば ティファニー・ブルー

エルメス・オレンジ

ディオール・レッド

サンローラン・ピンク

ではベージュは?
 
 
答えは シャネル です!
 
シャネルのリトルブラックドレスのイラスト
1926年のVogue掲載“フォード・ドレス”
 
 
黒をファッションとして取り入れ
”リトルブラックドレス”の概念を作り上げたことで
知られるシャネルなので、ブラックでは?と思われる方も
いらっしゃると思いますが、
色名としてシャネルを持っているのは
 
シャネル・ベージュ
 
そして同時に、
ブラックとも深い繋がりがあります。
 
***
 
建築やインテリアがお好きな方はご存知の方も多いはず、
この1900年代初頭 モダン・デザインの時期に活躍したのは
 
ル・コルビュジェ(フランス/出生はスイス)
 
「近代建築の三大巨匠」と呼ばれる三人です。

大正12年(1923)に完成した
フランク・ロイド・ライトによる
旧帝国ホテルは1967年に解体され、
1985年に正面玄関部分のみが
愛知県の博物館明治村に移築されている
 
自動車業界では、
アメリカのフォード社”T型フォード”という
車を大量生産し、やはり時代の象徴となります。
 
***
 
そしてファッション界で台頭するのが、
シャネルなのです。
一世を風靡し歴史を変えたリトルブラックドレス、
その足元に佇んでいたのはどんな靴でしょうか?
それは今もなおブティックに並んでいるあのデザイン、
ベージュとブラックのバイカラーの靴でした。
”肌の色と同じベージュで脚を長く見せ、
つま先のブラックで足を小さく見せる”
その組み合わせ、色の機能性、ファッション性こそが功を奏し、
リトルブラックドレスの黒と並んで
ファッション界のモダンデザインの規範
シャネル・ベージュと呼ばれる地位まで高めたんですね。
普段なにげなく目にし、選びやすい選択肢のひとつとして
触れている色のなかに実はそんな歴史が隠れていました。
 
***
 

続いて、レッスンでご用意していたテーブルです♪

今回は一番大きな面積を占めるリネン=テーブルクロス で

ベージュを取り入れました。

夏のテーブルに求めたくなるのは
涼しさや爽やかさ、
または暑さを楽しむホットな雰囲気。
その季節を過ぎて、風は少し肌寒くなり、
色づいていく葉っぱ…
 
実りの季節の訪れを感じ始めるころをイメージしています。
 

センターピースには木の枝を模ったキャンドルスタンド、

起毛のように見える暖かな質感のフラワーや

木の皮を巻いたキャンドル、大理石のキャンドルホルダー

バスケットなど暖かな質感のものを選んで配置しています。

ガラスもいくつか花器やキャンドルに使っていますが、
クリアなままは避けてカラーガラスまたは
木の皮を巻いてアレンジ
水の気配を出さないのがポイントです◎
そしてすべてを暖かい質感にしてしまうと
今度はイメージした季節からは暑苦しくなってしまうので、
個々のセッティングにはセンターピースとは反対に
まだ残る暑さに対して涼しさを心地よく感じられるような
クリアな質感のものを選びました。
プレートも重ねていくと暖かな雰囲気が増すので
クリスマスなどのおもてなしにはぴったりなのですが、
今回はあえて1枚しかセットせずすっきりと。
秋色の、ノースリーブのワンピースのような感覚ですね!
センターピースに置いたドライのリーフの色と、
個々にセットしたナプキンのセージグリーンのような色は
よく似た雰囲気を持っていて、
それがセンターピースと個々のセッティングの
良い繋ぎの役割をしてくれています。

先にもご説明したニュアンスカラーの場合、

曖昧で柔らかな色味が魅力である反面

ただ広い面積に広げるだけでは

ぼやっとした印象になってしまうことも。

強い色を入れすぎると主役のベージュが負けてしまうので、

ベージュの延長線上にある色、

ブラウンのマットを重ねて

引き締め色として使いました。

こうすることで、面積は減りながらもベージュの色も

よりしっかりと存在感が感じられるようになります。

 

バスケットは定番のFortnum & Mason
普段はあまり混ぜて使うことをしないかすみ草も、
今回の暖かさとクリアな透け感のバランスを取るのにあたり
フロストグラスと同様、とても良い雰囲気を出してくれました♪
長くなってしまいましたが、
皆さんの心になにかひとつでも響いたもの
新しい情報がありましたら嬉しいです!
今回もありがとうございました♪

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